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プロニートの履歴書

色んなできごとに翻弄され、プロのニートになるまでの物語

好きな漫画をお勧めするのは諸刃の剣、というお話

Cómic 

「漫画読む人?」

彼は私にそう聞いてきた。
読む人?そうね、読む方の人だと思います。

「一番好きな漫画は何?」

と、自称漫画好きの彼は話を続けた。

一番好きな漫画。

なんて難しい質問なんだろう?ここで手塚治虫的な不朽の名作を答えていいものなのか…、でも時代遅れな漫画のタイトルは言いにくい…。

そう思った私は、ここ最近読んで、あまりの逸脱さに本棚2つ分の本を捨ててしまうことになった漫画のタイトルを答えると、それは有名な漫画だったらしく、その答えに驚いた彼は、「だったらこれ絶対読んでみなよ!」と彼一押しの漫画のタイトルを教えてくれた。

 

その話はひとまず置いといて、まずは私の好きな漫画から。

私がお勧めする漫画10選

誰もが知っている『風の谷のナウシカ』。
映画でしか見たことない人も多いかと思いますが、全7巻と壮大なナウシカ腐海の謎の旅のお話。よくよくナウシカ世界の地図を見ていると、中央アジアあたりが舞台の物語であることがわかります。人類の歴史と同じぐらい長い中央アジアの紛争が終わることのない憤りといいますか、80年代のテクノロジーへの脅威というか。

 

AKIRA(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

AKIRA(1) (KCデラックス ヤングマガジン)

 

これも世界を揺るがした漫画。これまた映画でしか見たことない人も多いでしょうが、漫画を読まないと、いったい何の話なのかわからないのではないでしょうか。
この90年代の破滅的な世界観がいいですよね。やっと時代が2020年の東京オリンピックに近づいてきて、AKIRAの世界観のリアリティが増してきました。
外国人でAKIRAがきっかけで日本好きになった、という人に出会うと、「君!わかってるじゃないか!」と小一時間ぐらい話し込みたくなります。

 

少年ジャンプのギャグ漫画。最近はどうなのか知りませんが、たしか伝説にまでなった漫画。一時期、私のバイブル的存在でした。マサルさん、あんたは漢の中の漢やー!ウォンチュ!と。
本誌ではきっと打ち切られたんだと思います。同じ作者の『武士沢レシーブ』も同じように打ち切られたんでしょうが、最終回ですべてを取り戻すうすたさんの力量がすごいです。

 

デビルマン (1) (KCデラックス (435))

デビルマン (1) (KCデラックス (435))

 

自分が生まれる前の漫画なのでナメてました。絵とセリフ回しに時代を感じますが、そんなことはどうでもよくなる。男子がキャーキャー言ってても、はいはい、よかったね、と受け流してました。そういうギャップが評価をより持ち上げた感もあるんですが、非道い話です。なんてことを!悪魔め!!と、思うんですが、美しい話ですよね。暗闇の中の白い光の美しさ。無駄なくテンポよく、さっと終わるところもよいです。

 

最上級のペーパードラッグ。ということで、よくまぁ、ここまで幻覚の世界を描き込めたなぁと誰もが驚愕できます。ジャンキーじゃなくても、あぁ、きっとこんな感じなんだろうな、と十分すぎるぐらい伝わるサイケデリックな世界。なのですが、永遠に終わりそうにない。こんなに緻密な絵を描いてたら、終わらないんじゃない?と思う。でも、面白いので。ぶっ飛べますよ。

  

聖☆おにいさん』と同じ作者ですが、中村さんは女性なんですねぇ。聖☆おにいさんの方が面白いかもしれないんですが、こちらの方が埋もれてる感があるので。
天然なギャグ漫画なのですが、各コミックの最後のショートストーリーを読んでいると、実はこの人すごく繊細な感性の持ち主なのでは…と、深淵を覗かせるっていうんですかね。ギャグ漫画家というのは思っているよりも、ずっと深いんだと思わされました。立ち読み程度でいいですよ。

 

かくかくしかじか 1

かくかくしかじか 1

 

作者の東村アキコさんの自叙伝。 現代の女性版トキワ荘
これは今年のお正月に読んでしまったので、身が引き締まる思いでした。普段、漫画に感情移入することはないんですが、この漫画は美大系を卒業した人にはキます。身につまされます。私などは今年の抱負まで抱いたほどです。そうそう、そうなのよーーわかるわかる!と思いつつも、向こうは今をときめく漫画家。ダラダラ生きてる身として、共感できでも身の丈の違いを痛感させられ、二度目が読めません。好きというよりも、単純にお勧めです。

 

乱と灰色の世界 1巻 (BEAM COMIX)

乱と灰色の世界 1巻 (BEAM COMIX)

 

たまたまチュニジアの知り合いがFBでシェアしていたので知ったのですが、 少女漫画でびっくりしたのは初めてです。今まで読んできた本はこの漫画に集約されてると言ってもいい!と思って、本棚2つ分の本を手放しました。
まず、絵が自由過ぎる。こんなにのびのびと絵を描く人もめずらしいんじゃないでしょうかってぐらい。またそれぞれのキャラが立ってて素晴らしい!ストーリーも魔法使い少女の王道で、本当はみんな魔法使いなのよ。というファンタジー。

 

タンタン チベットをゆく (タンタンの冒険)

タンタン チベットをゆく (タンタンの冒険)

 

小学校の図書館で読んでいた本。タンタンの冒険シリーズ全24巻。その中でもチベットのエピソードが好きです。子供の頃は絵本だと思ってたけど、バンド・デシネという欧州漫画の原点的な存在といいますか。初版は1929年と第2次大戦前なので、なんとも長く世界中で愛されている漫画です。
海外の漫画のすごいところは、展開が思いがけなさすぎるところ。絵本にしても、漫画もアニメも、えええ!と遠いところまで世界が広がっていきます。
アンパンマンの作者のやなせたかしさんが、タンタンに影響されたという話も驚きで、たしかにアンパンマンとタンタン、似ています。

 

バンド・デシネといえば、フランスのメビウス(Moebius)も忘れちゃいけないかな、と。メビウスの漫画で翻訳されたものはほとんどないのですが、絵だけでも見る価値があるので。見ているだけで、どれだけ多くの漫画家に影響を与えたのかありありとわかります。宮崎駿大友克洋松本大洋鳥山明冨樫義博浦沢直樹、などなど、もっといると思います。すべてはこの人から始まったのじゃないかと思えるぐらい。
表紙の絵はナウシカメーヴェの元になった飛竜です。

 


さて、ここまでが私の好きな漫画です。選んでみると、選びにくいもので…。

漫画は時代性もあるのだけど、それでも時代を超える名作もあれば、自分の状況や気分もあるし、色んな要素が相まって良かったり悪かったりとか、いろいろありますね。

読んでる間はその世界に入り込めるので、とても充実した時間なのですが、実際はどこかで白い紙にペンで一心不乱に描いている人たちがいる。そして、自分はソファでゴロゴロしてる…という現実。それでも、読む価値のある漫画がいっぱいありすぎる。 

 


そろそろ上の話の続きにしますね。

 

「一番好きな漫画は何?」

と、自称漫画好きの彼は話を続けた。

 「うーん。。難しいけど、最近読んで一番びっくりしたのは、乱と灰色の世界かなぁ」

 「え?あのエンターブレインの!?なんで知ってるの?まじで!?」

と、自称漫画好きな人の世界では有名なタイトルだったのか、彼はこう続けた。

「だったら、絶対『惑星のさみだれ』読んでみなよ!」

そっかー。あれに匹敵するほどのものを出されたら、読まずにはいられないじゃないかーと読んでみたんです、私。全10巻もありましたよ。

 

はい。

 

えぇ、

 

ええ、ええ。

 

えええええええええっっっっっっ!?

 

何この中2病満載でスケールの小さい漫画!!!

「御意!?」御意ってなに!?

まじか!?なんでこれ勧めたんだ!?
同世代なのに、これが最高っておかしいでしょう!?デスノートって言われた方がまだ幸せだった!

 

はい、どえらいクーラーの効き過ぎた寒い漫画でした。

私、絶対勧めません。最初からヤバい雰囲気を感じてるんですが、その疑いは最後まで間違いではありませんでした。

漫画や音楽は「個人の好き嫌いだ」という人もいますが、私はそれ信じてません。主観はどうでもいい。主観は自分の過去の経験に根ざしたものだから。出来がいいものはいい。これに尽きると信じてます。

 

そして、彼とは友達になれそうにないな…と思いました。
その隣では、アメリカから来た若い外人が「僕、ナルトが好きで日本に来たんだー」と無邪気に話してくれました。
私は思いました。彼とも友達になれそうにないな…と(単にジェネレーションギャップで)。 

 

好きな漫画をお勧めするのは、きっと僕のことわかって!的アピールだと思うんですが、そのお勧めした一冊で、あっさり友達になれないことも判明する諸刃の剣になるのだと、私は心の中で小さな悟りを開きました。